18.江戸更紗

 表紙に戻る

更紗(SARASA)は 今から三千年以上前の遠い昔、 インドで発祥しました。
その技術は西はヨーロッパ諸国に 東は中国へ伝えられ、 またタイ、インドネシアへ、 さらに海を越えて日本へ伝えられたといわれています。
更紗「SARASA」は、国際語として世界各国で使われています。 日本にはじめて更紗がもたらされた時期は、 室町時代といわれ、ポルトガル、イスパニア、オランダの いわゆる南蛮船や紅毛船によって、 インド更紗やヨーロッパ更紗が船載されたと伝えられています。
当時、日本人の衣料の材料は、ほとんどが絹や麻で、 「SARASA」は、まったく知られなかった織物で そのすばらしい素材(木綿)に対する驚きがあったものと思われます。
この更紗の魅力は、木綿に染められた五彩 (臙脂えんじ、藍、緑、黄、茶)のカラフルな染め模様にあります。
私たちが更紗に対して、なんとなく異国情緒的なイメージをもつのは 日本伝来の小紋や友禅とはことなって、 原産地の風土の匂いとエキゾチックな感じがするからではないでしょうか。
江戸更紗の発祥は、江戸時代中期から末期にかけてといわれています。
神田川をはじめとする東京の水は、硬水です。 このため水中に含まれている鉄分が、 染め上げるまでに化学反応をおこし、 色が渋い色のものとなります。
そのため、江戸更紗独特の渋味が生まれ、 「侘」落ちついた味わい  「寂」枯れた渋味  の入った色が完成します。
現在、我が国で産地を形成しているのは東京の江戸更紗だけです。