2.東京染小紋

 表紙に戻る

小紋とは室町時代に発祥し、江戸時代に普及した型染めのことです。
大紋型染め(だいもんがたそめ)、中型染め(ちゅうがたそめ)に対して、 細かい模様柄の型染めのことを小紋型染めと呼んでいたことから この名が伝わったといわれています。

小紋の発達は江戸時代初期に武士の裃(かみしも)に細かな模様が染められるよう になってからです。
江戸には全国の諸大名家の江戸屋敷が置かれました。
こうしたことから 江戸の町に多くの武士階級が増え小紋の需要もたいへん多くなり 諸大名家では各自特定の文様柄を決めて着用していました。
はじめは 武士だけの裃小紋でしたが  江戸時代中頃から兆人分かが栄えると小紋染めは 庶民生活に必要な、きものや羽織等に染め上げるようになり 需要が拡大し、盛んにつくられるようになりました。
明治の初めに発布された断髪令や欧風化の影響により 男子の小紋の需要は大幅に減りました。
しかし 女性のきものとして需要が増え続け、 明治中頃には小紋に草花模様を描いた訪問着等が出来、 女性のきものの「華」として、今日まで親しまれています。

現在、東京染小紋は、東京で型彫りをし、染められるものをいいます。 この型彫りは 錐と小刀を使って文様を彫ります。
その種類は 「錐彫り」「突き彫り」「引き彫り」「道具彫り」等があげられます。
そして 型紙を一度に7、8枚重ね、長さ13cm幅40cmの間に彫ります。
なかには、細かい柄で、3cm平方に千個以上の穴をあけるものもあります。 こうした型彫りの文様が、すばらしい小紋を作り出します。